1907年創立(2025年度にて、創立118年目)の伝統校であり、「商業科」・「情報処理科」・「グローバルビジネス科」の3学科から成る商業高校です。普段は、「佐商」の通称で県民に親しまれています。
佐賀県下においても屈指の部活動強豪校でもあり、野球・水泳・卓球・柔道・剣道・バレーボール・サッカーなどの運動部のほか、速記・吹奏楽部・簿記・情報処理等の文化部も、県大会・九州大会で優勝・上位入賞のほか、全国大会でも素晴らしい成績を挙げています。

「課題研究(ビジネスプラン)」は、2024年度から開講し、早速、ビジネスプランコンテストや大学進学において素晴らしい成果をあげることができました。

【ビジネスプランコンテスト】
第6回 西九州させぼ広域都市圏ビジネスプランコンテスト 「大賞」受賞

【大学進学(国公立大学)】
佐賀大学経済学部
山口大学経済学部
長崎県立大学経営学部

今回、課題研究を担当した「新谷幸輝」先生に、お話をお伺いすることができました。


「1年間の取り組みで、生徒たちは大きく成長しました。ビジネスプラン策定やプレゼンテーションスキルも向上しましたが、社会で活躍する大人から学び取る力を得たことが大きいです。」

ビジネスに関する基礎力を得たことで、大学進学後もそれぞれの道で深みのある探究活動を続けてほしいです。

— 新谷 幸輝先生、商業科教員

Q
なぜ佐賀商業高校では、2024年度に「課題研究」の授業において「ビジネスプラン」を開講したのですか?
A

現在、さまざまな団体がビジネスプランコンテストを開催していますが、なかなか佐賀商業から挑戦できておらず、生徒が挑戦しても教員側が支援できていない現状がありました。
また、生徒たちは3年間で簿記やマーケティングの検定を数多く取得していきますが、知識止まりで「実践」する場面に乏しかったように思います。
それらの課題を解決し、よりよい教育を実践する場を提供するために、「ビジネスプラン」を開講しました。

Q
高校生の頃から、ケーススタディを通じて実践的な企業経営(マネジメント)を学ぶことに対して、どのようにお考えでしょうか?
A

学ぶメリットが2点ほどあると思います。

1点目は、「商業高校での学びが深まる」という点です。
「簿記」や「マーケティング」は実学であり、実践してはじめて学びが完成すると思っています。実践的な企業経営(マネジメント)を高校生のうちに学ぶことで、商業系科目への興味・関心が高まり、将来の進路に大きな影響を与えることができます。実際にビジネスプランの授業で企業経営を学んだ生徒のほとんどが、大学の志望理由書にビジネスプランや企業経営について書いていました。

2点目は、「経済・経営系の大学進学後に、ビジネスに関する基礎力がある分、深みのある探究活動ができる」という点です。
ビジネスの本質は「世の中の不を見つけ、解決すること」であるため、高校時代から自然に経済の仕組みを理解しようと努力します。その学びは、大学で行われるような先行学習になっており、進学後はスムーズに研究できると思います。

Q
THINKBASEを使った授業では、生徒さん達の反応はいかがでしたでしょうか?
A

ゲーム感覚で没頭している様子が印象的でした(笑)。ゲーム教材を開始すると、黙々とゲームに挑んでいる姿が忘れられません。普段の授業とは全く異なる姿でした。
ゲームの内容は企業経営に関するものですが、RPG形式(ロール・プレイング・ゲーム)にすることで、生徒の興味が持続し、主体的学びに繋がったと思います。

Q
THINKBASEを活用した学習後、本格的なビジネスプランの策定にチャレンジした生徒さん達の反応はいかがでしたでしょうか?
A

正直、苦戦している様子をたくさん見ました。
やはり「答えのない問い」に立ち向かっているため、これまで授業で行われていた学びとは
180度違い、苦戦していたのではないかと思います。
生徒は渾身のビジネスプランを策定したつもりでも、穴だらけだったり、浅い内容だったりして、何度もチャレンジしていました。しかし、トライ&エラーを繰り返し、少しずつ成長する様子が見られました。

Q
商業高校も少子化の影響を大きく受けております。新しい商業教育には何が必要でしょうか?
A

検定(知識)で終わることなく、どれだけ実学に繋げて、社会で役立つスキルを養成するかが大切だと思います。
単に「就職できる学校」・「資格が取れる学校」・「部活が強い学校」では、今後選ばれる学校にはなれないのではないかと考えます。

Q
その他、1年間の授業を通した感想・助言等、何かございましたら教えてください。
A

1年間、生徒に寄り添った熱い支援を行っていただきありがとうございました。
外部講師の坂口さんから支援いただけた生徒たちは本当に成長できたと思います。
ここでは4つの成長を書かせていただきます。

①ビジネスプランを策定する力

②自分の考えをわかりやすく表現する力

③ハードワークしてやり抜く力

④社会で活躍する大人から学び取る力



(2025年3月14日・取材当時)